こんにちは。ポプコレスタッフのハナコです。
先日、元町映画館さんで行われました
SILENT FILM LIVE #04『カメラを持った男』
の取材にタリーちゃんと行ってきました。
(取材中のタリーちゃん)
サイレント映画の楽士である鳥飼りょうさんによる即興演奏でサイレント映画を楽しむイベント「SILENT FILM LIVE」。
すでにもう第4回目です。
今回の特集では、その時の様子などを前後編でお伝えしていきます。
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さて、前編である今回は、上映された「カメラを持った男」についてのご紹介です。
どのようにピアノが・・・ということなどは後編に置いておきまして、まずは作品についての感想などお届けします。
「サイレントムービー」、「モノクロ映画」、「ドキュメンタリー」、「ストーリーがない」、「ソビエト連邦」・・・
このキーワードだけ聞いたら、なんだか難しそうなイメージないですか?
わかります、わかります。
なぜなら、
私がそう思っていたからです。
ピアノの生演奏付きで、素敵っぽいけど、寝ちゃったらどうしようと思っていたわけです。
しかも100分もあるんです!
ちょっと不安だったのです。取材なのに!
でも、でも!
聞いて欲しいのですが、
実際に観てみてどうだったかというと、
全然寝てませんでした!
あっという間!
そう、面白かったのです。
改めて言いますが、この映画に筋書きなどはありません。
映像自体は戦争などの争い事のシーンもなく、「あれ?ソ連ってこんなに陽気な国だったっけ?」と思うくらい楽しげな人々の日常が描き出されています。
工業化された工場で働いているシーンが挟み込まれていたりで、なんだか「ソ連ってサイコー!」と思わせる様な感じだなあと現在を生きる私なんかは思ってしまったのですが、筋書きなどなくても、100分間じっと見ていることができました。
ちなみにこのタイトルにもなっている『カメラを持った男』ですが、もちろん作中に出てきます。
大きな手巻きカメラを肩に担いで、屋根の上から海、バイクに乗って・・・色々な場所から危険を顧みず魅力的な映像を撮影しているのです。
海にも行くし、線路で寝っ転がって自分の上を電車が通っていく様を撮ったり、出産シーンだったりとか、ハードルとか幅跳びをしている人を撮っていたり、場面が次々と切り替わっていくのと、もちろんその映像に合わせて主張しすぎないピアノ演奏とでぐいぐい引き込まれていきました。
彼が今の時代でアクションカメラをゲットしたならば、それはもう大喜びで色々なところにカメラを持って飛び出していったでしょう。
お金持ちではないけれども、頑張っている彼を見たらプレゼントしたくなってきました。笑
ただ、絵になるのはやはり大きなカメラを担いでいる彼の姿。
やはりカメラはお預けですね。
それではタリーちゃんに紹介してもらいましょう。
「カメラを持った男」
当時では画期的な最先端の
特殊撮影技法を用いている
映画史に残る不朽の名作
ソ連の映画作家ジガ・ヴェルトフの代表作。
映画史上もっとも重要な作品の一つであり、実験的ドキュメンタリー映画の金字塔として今も輝く傑作。
ロシアの或る一日を超絶的なモンタージュ技法を駆使して撮影した、映像の悦びに満ち溢れた映画。
フランスのジャン・ヴィゴはこの作品に強く影響を受け、翌年に今作を撮影したヴェルトフの異母兄ボリス・カウフマンと共に処女作『ニースについて』を世に送リ出す。
実はサイレント映画を初めてちゃんと映画館で観ました。
もちろん、鳥飼さんのピアノ生演奏という贅沢な状況でしたが、筋書きのないドキュメンタリー映画とのことでしたので、最初は「もしかしたら寝ちゃうんじゃないかしら・・・」と不安だったんです。
それがあっという間に100分の上映時間は終わっていました。
ところでこの作品は1929年のもの。
・・・って、 今から90年も前!
今だったらパソコンどころかスマホのアプリでチョチョイとできそうな場面をどうやって描き出したのか、本当に凄い!の一言です。
だって、フィルムで撮ってるんですよ!
作中にちょっとそこらへんの編集場面も出てきますが、ハサミで切ってくっつけている・・・。
すごい!
機会があったらぜひご覧になってください〜!
「カメラを持った男」
監督:ジガ・ヴェルトフ
制作年度/国:1929年/ソ連
次回のSILENT FILM LIVEは、9/22(日)!
気になる方は、是非ご予約を!
【ゲストプロフィール】
鳥飼りょう
サイレント映画専門の楽士。
ピアノ、パーカッション、トイ楽器等を演奏。
2012年11月、Planet+1『西部の偉人 ウィリアム・S・ハートの全貌』でデビュー。
全ジャンルの映画に即興で伴奏をつけ、これまでに演奏した作品数は480以上。
映画に寄り添うその演奏は好評を博し、国内・海外の映画祭にも招聘されている。
2018年には神戸発掘映画祭にてフィルムアルヒーフ・オーストリア(オーストリア国立アーカイブ)により修復された『オーラックの手』デジタル復元最新版のワールド・プレミア上映で伴奏を務めた。
また、ダンスや朗読など他分野とのコラボレーションにも取り組む等、多彩な活動を展開している。
2015年12月よりPlanet+1の長編シリーズ「映画史〜映画の樹」でのサイレント映画の全伴奏を担当。
現在、最も上映会で演奏する楽士のうちの一人として関西を中心に活動している。
Facebook: https://www.facebook.com/ryotorikai.music/
Twitter : @ryo_torikai
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