かぶり笠でひと休み
一緒に旅を続けてきたざしきがモノノケに連れ去られてしまい、
それから休むことなくざしきを追っていたゆぎょとイエローチッチでしたが、
気がつけば辺りは暗くなっていました。
そしてあっという間に夜が来て、さっきまでワァワァ喋っていたイエローチッチも
ぐったりとしてゆぎょに抱かれたまま黙りこくっていました。
「チッチ、そろそろ休もうか」
イエローチッチを心配してゆぎょが声をかけると、
イエローチッチは
「じゃあそこで休もうよ」
と近くの野原を指差しました。
ざしきのことが頭から離れないゆぎょでしたが、
夜中にこれ以上進むのは危ないとも思っています。
ゆぎょは、遠くの空を仰ぎ見ます。
その空にチカチカとまたたいている何かを、
お地蔵様のお導きだと信じてここまでずっと追いかけてきました。
もしも、休んでいる間にこの光が消えてしまったら・・・。
そう不安にかられ、なかなか歩みを止めることができなかったのです。
しかし、しばらくそのまたたきを見ていても消えなかったので
やっとからだを休めることにしました。
かぶり笠を大きく広げると、イエローチッチと肩を寄せ合い横になりました。
いつもならざしきも一緒でみんなでくっついて眠りについているのに、
今日はイエローチッチとふたりで、スペースに余裕があります。
(・・・こんな時に一人じゃなくって本当に良かった)
背中に感じるイエローチッチの暖かさにほっとしていると、
イエローチッチがつぶやきました。
「ざしき生きてるかな?」
「心配いらないよ、そんなこと考えないでおやすみ」
ゆぎょも目をつぶって体を休めることにしました。
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