我に帰ってざしきを追え!

 

 

全てはあっという間の出来事でした。

さっきまで、虹色に輝くお花畑で花かんむりを作って

喜んでいたざしきが謎のモノノケにさらわれて、

今ここにいないのです。

 

「ざしきちゃんが・・・」

 

ゆぎょが何とかとっさに投げた刀は、

宙を舞いながら少し手前に落下してしまっています。

 

(あの時、もっと早くに反応できていれば・・・)

 

後悔してももう遅いのです。

ざしきは大きなモノノケのくちばしに咥えられ

大空高く連れさられてしまいました。

 

イエローチッチが震えながらゆぎょに言います。

 

「ざしき、食べられちゃう・・・」

 

「そんなわけない! 大丈夫、すぐに追いかけよう」

 

ゆぎょはとにかく自分を落ち着かせると

錫杖を空に向けて祈りを捧げました。

 

夢枕に立ちゆぎょたちをこの東の地へ導いてくださった

お地蔵様に。

 

(お地蔵様、どうぞお導きください)

 

ざわざわと心は波打ち、不安な気持ちでいっぱいです。

それでもゆぎょは深呼吸してこう思いました。

 

 

(ここへきてざしきが連れさらわれてしまったのも、

お地蔵様のお導き。きっと何か意味があるはず)

 

遠くの空がチカチカとまたたいて、

ゆぎょにはそれが合図に思えました。

 

「必ず助ける」

 

ゆぎょはイエローチッチを肩に乗せると走り出しました。 

 

 

 

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