痛みよりも辛いこと
大きな崖崩れに巻き込まれてしまったハチミッチーですが、
奇跡的に命に別条はなかったものの、顔や体に傷を負ってしまいました。
川の水を汲んて、薬にもなる大きな葉っぱを摘んできた
キュートビーとワルかったビーは、
その葉を使ってハチミッチーの手当てをします。
「痛いでしょう? 命は助かったけど、病院に行かなきゃダメよ」
キュートビーが葉っぱでハチミッチーの汚れを落とすと
怪我の具合をみて言いました。
「・・・とにかく安全なところへ運ぼう」
ワルかったビーはまだ怒っています。
それでも、2匹で協力してハチミッチーを安全な場所まで運びます。
頑丈な岩場へ運ばれたハチミッチーは、何も言うことができません。
いつもであれば、ここで嫌味の一つでも言いそうなハチミッチーなのですが、
さすがに勝手についてきて、さらに手がかりの花を独り占めに
しようとした挙句、崖崩れに巻き込まれて、
さらには、いつもからかっていた2匹に助けられるなんて
よっぽどショックだったのでしょう。
うなだれるハチミッチーにキュートビーが声をかけました。
「じゃ、もう行くね。気をつけて帰ってね」
その言葉に顔をしかめながら何か言おうとしたハチミッチーでしたが、
2匹が飛び立つまでその場でじっとしていました。
そして2匹の羽音が聞こえなくなった頃、我慢できなくなって、
ハチミッチーは飛び上がり、痛みをこらえながら羽を広げました。
「俺も一緒に・・・」
どうしても後をついて行きたくて、ハチミッチーは2匹の進んだ方角へと
急いだのでした。
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