イエローチッチとざしきちゃん
地球に来てから長く旅を続けている『ゆぎょ』は、
自分がどこから来たのか、何者であったのかを忘れていました。
地球の美しさに感動し、ただ旅を楽しむ普通の生活。
過去のことはよく覚えていないけれども、そんな旅の生活が
ゆぎょの心を落ち着かせ、また豊かにするのでした。
ある日、ゆぎょがのんびり京の街を歩いていると、
道ばたで小鳥が倒れていました。
ゆぎょが駆け寄り抱き起こすと、その黄色い小鳥は
「・・・お腹が空いて・・・死にそう・・・」
と小さな声でつぶやきました。
ゆぎょが優しく水やおむすびを与えるとみるみるうちに
元気になり、その黄色い小鳥は改めてゆぎょにお礼を言いました。
小鳥は『イエローチッチ』と名乗り、お礼に不思議な
葛籠(つづら)をゆぎょにくれると言います。
「そんなつもりで助けたんじゃないから、葛籠は受け取れないよ」
とゆぎょが断っても、どうしても受け取ってほしいと
イエローチッチは譲りません。
とうとう根負けし、葛籠を受け取ってその蓋を開けると、
ゆぎょはたちまち僧の姿に変身してしまいました。
* * *
その日の夜、お寺の離れを借りて眠っていた
ゆぎょの夢枕にお地蔵様が現れました。
「このまま東へ旅を続ければ新しい道が開け、大きな災いを防ぐことができる」
とお地蔵様はゆぎょに告げ、東の空を指差すのでした。
翌朝、お告げ通りに東へと旅立つことにしたゆぎょの前に、
可愛い女の子が現れました。
幼いその娘は「ざしき」と名乗り、ゆぎょと共に
旅をしたいと言うのですが・・・。
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