お地蔵様ふたたび

 

 

その夜、かぶり笠の中で眠るゆぎょの夢枕には、久しぶりにお地蔵様が現れました。

このお地蔵様は、まだざしきが旅の一行に加わっていなかった頃に

一度ゆぎょの夢枕に現れたお方。

 

もともと一人で世界各地を旅し、ただただこの世界の美しさに感動し、

もちろん旅先でたくさんの人々と出会ったゆぎょですが、

一緒に旅する相手はずっとおらず、気楽さの中に寂しさを感じていました。

 

ところが、京の町で偶然イエローチッチと出会い、

そのまま一緒に旅することになりました。

 

特に気があうわけでもないのに、

なぜか一緒に旅しても大丈夫だと確信があったのです。

そして、そんなイエローチッチと出会った日の夜、

初めてお地蔵様がゆぎょの夢枕に立ったのでした。

 

ゆぎょは夢の中で、お地蔵様に訴えました。

 

「お地蔵様、ざしきちゃんが怪物にさらわれてしまいました。

どこへ行けば助けることができるのでしょう?」

 

ゆぎょが叫ぶと、お地蔵様は微笑みながら

 

「東へと誘いましたが、今は事情が変わりました」

と呟いた。

 

「事情?」

 

ゆぎょはわけがわかりません。

困惑しているゆぎょにお地蔵様はさらに続けて言いました。

 

「いいですか、ゆぎょ。あなたをその僧侶の姿にしたのは、

あなたが地球に来た時に“悟りに向かって修行をしたい”と強く願っていたからです。

私たち地蔵菩薩は、人々を救う菩薩といわれています。

あなたはこの地球を救うために、この世界へ来たのではなかったのですか?」

 

このお地蔵様の言葉を聞いて、ゆぎょは驚きました。

 

(わたしがこの地球を救うためにここへ来た? 一体それは・・・?)

 

お地蔵様は微笑んで、もう一度ゆぎょに語りかけます。

 

「思い出しなさいゆぎょ。あなたは自分の過去を取り戻さなければならない。

忘れている過去を取り戻しなさい」

 

 

 

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